a

第20回 デュアルスポーツ in 小豆島 レポート

2012年6月15〜16日:開催

香川県 小豆島:会場


祝! 小豆島デュアルスポーツ開催20回大会!!!
なんだか軽いタイトルではありますがその積み重ね重みは私一人では出来ないもの。本当にたくさんの方々にお世話になりながら達成出来た事であります。
今回のレポートはこの「デュアルスポーツ in 小豆島」の創始者でありますオカザキ様からのコメントから始めたいと思います。

現在、小豆島で開催されているオフロードバイクによるツーリングイベント、デュアルスポーツin小豆島が20回目を迎えるということで、第1回目から第12回目までの主催責任者であった私を現在の主催者であるオフィスアクションの責任者である奥村 善武さんから「来島しませんか?」というお誘いを受け、本当に久しぶりに小豆島を訪れました。この機会に小豆島でのデュアルスポーツについてすこし書き残しておきたいと思います。

モーターサイクルデュアルスポーツについて簡単に説明しますと、 参加者に汗を流してもらえるようなルートをコースの一部に組み込んだ悪路をオフロードバイクで走るツーリングです。このようなイベントが米国であるのを知ったのはオフロードバイク誌に掲載された小さな囲み記事でした。ただし、米国のそれはインストラクターが参加者を引率していくもので、小豆島で開催されているような規模の大きいものではないだろうと推察しています。

デュアルスポーツを開催しようと考えた動機はふたつありました。

ひとつめはこのイベントの前に10年に渡って町おこしイベントとして地元の商工会が主催していた「小豆島オリーブツーリングトライアル」が終了してしまったことです。大阪で安心してトライアル(オフロードバイクによる走破性を競う採点競技)を楽しめる場の確保に多少なりともかかわった私は「場を失う」ということに敏感で、この出来事はとても残念なことでした。せっかく小豆島という場で育ったモーターサイクル文化の灯を消したくありませんでした。

ふたつめはインターネットが普及する前のパソコン通信の時代にオートバイ愛好者が集うネット空間の運営をニフティ社から任されていたことでした。この新しい道具をイベント開催のための便利なツールとして利用することを運営者として実験してみたかったのです。

トライアルでなくデュアルスポーツであった理由は、私にとって採点区間の設営までを必要とするトライアルの主催は敷居が高すぎました。また、このころオフロードバイクに関するビジネスに手をだしていた私はトライアル以外の競技やレースにも目が向いており、思い出したのが先の記事のデュアルスポーツでした。しかし参加者を引率するスタイルでは大きなイベントを望めません。その解決策として、ラリーや公道を使う伝統的なトライアルのようにコースマークで誘導して走らせることを思いついたのです。

デュアルスポーツを開催するにあたっての地元との交渉はあっけないほど簡単でした。オリーブツーリングトライアルに10年間参加しつづけましたので、主催者であった商工会の方々とは顔馴染だったこと、ツーリングトライアルを主催されていたことで、山の中をオートバイが走るということの理解が既に商工会の中にあったことがその理由だったのでしょう。
開催の目途が立ったので、私はニフティのオートバイフォーラムにデュアルスポーツ開催のための新しい会議室を立ち上げ、応募してきた方々と開催の打ち合わせをはじめました。これは予想どおり効率的な方法でした。スタッフはそれぞれ自分の都合の良い時間に会議室にアクセスして提案をしたり質問することができ、情報を確実に共有化することができたからです。開催日に至るころには私はこの方法の有効性を確信することができました。

これについて、とても印象に残った出来事を紹介します。開催前の準備段階でのこと。私は小豆島に入り、手伝っていただけることを会議室で申し出てくれていたスタッフを民宿で待っていました。フォーラムではハンドル名という仮名を使うのが一般的であったためにほとんどのスタッフの本名を知ることありませんでしたし、電子空間での打ち合わせですから顔を合わせたこともありませんでした。オートバイの音がしたので出て行ってみると、一番乗りのスタッフが玄関に立っていました。「こんばんわ、私が悪徳商人岡崎屋(当時の私のハンドル名)です。」と声をかけると、彼はヘルメットを脱ぎました。驚きました。彼ではなくて「彼女」だったのです。私はあわてて宿のおかみさんに「すみません、女性がいました。一部屋増やしてください。

私は第1回から第12回までデュアルスポーツを順調に開催することができました。これは私が意図したことではなかったのですが、厳しいルートを通過するのに参加者同士が助け合うのが当たり前になっていました。技量が高くコースを走るのに余力のあるライダーは余力のないライダーに力を貸し、そして共にゴールを目指す。これはデュアルスポーツが競争や競技でないために自然に生まれてきたデュアルスポーツ特有の精神であり、20回に至るまで参加者を引きつけてきた理由のひとつではなかったかと思います。さらにオリーブツーリングトライアルからデュアルスポーツまで20年余りの時の流れの中でライダーを見守ってくださった小豆島の方々の温かい心もデュアルスポーツの参加者を魅了する大きな力となっていました。

第12回のデュアルスポーツを終えて、私事の理由で私は二輪の世界から離れることにいたしました。デュアルスポーツについては、さまざまなオフロードバイクイベントを開催されているオフィスアクションさんにお願いしたところ快くお引き受けいただき第13回からバトンタッチし、このたび第20回を迎えました。小豆島に生まれたモーターサイクル文化、そしてデュアルスポーツの精神、これらの灯を消すことなく継続してくださっているオフィスアクションさんには本当に感謝いたしております。

二輪の世界から離れた後も私はオフィスアクションさんのホームページでデュアルスポーツの開催の様子を拝見させていただくことを楽しみにしていました。そしてたいへん印象に残ったホームページ掲示板の書き込みがありました。ある参加者が(たぶんデュアルスポーツがとても楽しかったのでしょう。)時折コースでウィリーを披露していたらしく別の参加者が「交通量が少ない道路とはいえ一般道でそのようなことをするのは如何なものか?」という趣旨のことを問題提起されました。ただ、決して喧嘩腰ではなく、相手の立場を傷つけない穏やかな表現であったと記憶しています。すぐに当の本人が謝罪の書き込みをされていました。ネットの世界では過度な馴れ合いや逆に過度な対立が生まれやすいものです。しかし、このやりとりにはまさにデュアルスポーツの精神そのものが現れており、今に至るまで継続していると私は感じました。

人として生まれたことでなにかをこの世界に残すことができれば、これ以上の喜びはないと私は考えています。私のささやかな思いつきが小豆島におけるモーターサイクル文化とデュアルスポーツの精神を生み、デュアルスポーツの参加者、スタッフそして小豆島の皆様のおかげで継続していることをとても嬉しく思います。

デュアルスポーツが20回目の開催を無事終了いたしました。これからも参加者の皆様もスタッフの皆様も末永く小豆島を思う存分楽しんでいただけることを願っております。

今の日本国内で地域協力を得て公道を使ったモーターサイクルイベントが開催出来るのは決して多くはありません。
この「デュアルスポーツin小豆島」は本当に日本中に自慢できるモーターサイクルイベントです。これが20回目の実績であると自負します。
ありがとうございます。感謝に堪えません。
そんな20回目大会はと言えば・・・

開催日程
ここ最近日本国内でのMCイベントが増えています。なんだかとても元気です。毎週のように何らかのイベント開催で賑わっています。とてもいいことです。
そんな訳から開催日が例年より2週間夏側に進んでしまいました。DSのコンセプトは「爽やかなツーリングイベント」を目指しています。この2週間夏側と言うのは本格梅雨に近くなる、気温が上がる、すなわち雨天の確率があがり熱中症の危険度が増す事。
ちょっと不安です。おっと台風発生の可能性もありますです。さあどうしよう・・・
公道使用の問題点
警察への道路使用申請19回目の無事故無違反の実績がモノを言ってすんなりOK
香川県道路施設使用許可県職員様との交渉結果、地元振興の為であれば何の問題も無いでOK
粟地ダム周辺林道使用後補修小豆島役場職員様の仲介により林道管理組合の復旧費用一部負担で解決(参加者の愛ある募金を充当しました)
小豆島住民みなさまからの問題何も聞いた事がありません。ものずごくフレンドリーでウエルカム!これが20回目の重み。
1週間前
某イベント会場でスタッフをしていました。そのスタートに並んでいたライダーから「奥村さん、ものすごく疲れた顔してますよ。どうしたのですか?」いかんいかんやっぱり気持ちが身体に出るのや!
そりゃそうです。この日の朝6時に台風3号が発生して週末に関西目指してるもん!2年前の悪夢が頭をよぎる・・・
3日前
現地入り。コース設営。台風は日本の東の海上に去り消滅。やったー!しかし強烈な夏空。気温は30度を突破!熱中症対策はどうする?しかしその前にコース設営班(HARi&ケリー)が限界になり倒れそう。だってあのコースを毎日2周ですから。
でも夜のビールと地元食材で元気回復。これも現地設営の時の楽しみですよ。
1日目 土曜日
準備万端で参加者を迎えます。早い方は昨日から来られてました。
そんな初日は朝から曇り、小雨も降りだした。受付は午前10時から。スタートは11時から30分間、その間に携行飲料水2リットルのチェックを行います。もちろん雨が降っていても湿度は高く山間ルートに入れば水分不足になるのはあたりまえです。
そして雨脚はどんどん激しくなる。朝の試走の段階では何ともなかった1本目のダートコースのスーパー上級の激下りがちゅるちゅるになりあえなくコースカット。この調子ではますますルートの難易度が上がる。ロードルートは銚子渓から寒霞渓へ、そして粟地ダムの下り林道へと進む。そしてこの下りも雨に濡れてかなり滑る。オリーブの丘のチェックポイントで待機するもかなりの時間が経つ、このまま雨が止まなければこの後の「名物!亀岩」コースの難易度は想像がつく。そして苦渋の決断!亀岩ルートはキャンセルとなった。全員が三都半島のフラットダートから民家の軒先を「エンジンストップ!下車して50メートル押して進む!」これも名物。ご協力ありがとうございます。
ウエルカムパーティー
全員帰着後には雨は小雨に。いったいあの豪雨はなんだったのだろうか?私が引き継いでからは初めてのすごい降り方でしたよ。でも島全体には断水注意報が出てたのでもちろんの恵みの雨ですよね。ある意味よかったな。
このDSは広大な島全部がイベントエリアです。参加者ひとりひとりが自覚と責任を持って行動するゲームです。その自主性を重んじるため致せり尽くせりの場内放送もありません。全ての連絡事項は本部前の掲示板で行います。見てなかった知らなかったは通用しません。大人のモーターサイクルイベントですから。
おっと、ウエルカムパーティーの話しでしたね。20回大会で何をするのですか?と聞かれました。答えは何も派手な事はしません。「そもそもこのDSの夜は静かにゆっくりとそしてまったりと島の夜を味わってもらうのですよ」と冠スポンサーの第1回大会から参加のこのDSの生き字引のMC-JAPAN末石さんがおっしゃいます。でもでも賑やか好きの私としてはチョットだけ盛り上がりが欲しいですと3回前ぐらいから始めました。2時間限定ならいいでしょ。参加者やスタッフの中にお祭り大好きがいるのです。
2日目 日曜日
一夜明けての朝は霧雨が降っている。でも天気予報は晴れ。もう大丈夫です。
ところが朝1番の試走隊からの連絡は・・・「粟地ダム林道の上級上りルートは昨日の雨の後遺症でにゅるにゅるちゅるちゅるで走行不可能!」との連絡が。しかも基本ルートの果樹園からの上りも怪しい!とも・・・。仕方なく基本ルートは舗装路へ、果樹園上りは上級ルートへ変更となる。しかしほとんどの参加者は変更を知らすに果樹園ルートへ。ちゃんとコースマーカーを見て下さいね。案の定滑る上りで渋滞が発生。そして2台が転倒によるクランクケース割れで走行不能に(ライダーは大丈夫)ご愁傷さまです。
2本目の砂防堰堤下の沢越え上級ルートは程よい難易度でたっぷり楽しんでもらえたでしょ。これもある意味エエ案配なコースでした。ちなみに次回はこのルートがもっとグレードUPしますよ(予定)お楽しみに!
CPを過ぎれば定番の下りコース。一部の方から「マーカーが解らない」との指摘がありましたが、そんな事はありません。あなたがしっかりと見ていないだけです。マーカー掲出にも20回目のノウハウはあります。もっと落ち着いて既成概念は棄ててゆっくり走りましょう。これ島でなかったら本部へ帰って来れなくなりますよ。
午後には全員帰着。私及びスタッフがいちばんホッとする瞬間であります。怪我人は多少ありましたが大事には到っておりません。無事終われて今回も大成功!よかったであります。
そうそうここでも名物登場。勿論それは島一番の名物「島の光」そうめんの昼食です。ふるさと村のレストランのメニューの1.5倍盛り。食べ応えあるでしょ。満腹です。
小耳に挟んだ話し
初参加の方。「丸太や沢渡りでスタックしたらあっと言う間に助け出してもらえるのですね」そうですそれがデュアルスポーツ精神です。勝ち負けを競うレースじゃありません。一人で行く不安な林道ツーリングでもありません。これがデュアルスポーツです。
初めて昼食弁当を食べた方。「今まで食べて来た弁当の概念が崩れた。はじめてお金を払って美味いと思う弁当に出会えた」そりゃそうです「はまゆう」さんのお弁当です。地産地消。地元に感謝。なんと言っても小豆島にしかなくて、島の中を走らせてもらえるのですから。
林道修復費用協力金「そんなんエントリーと同時に全員徴収したらええのに」任意で別徴収にしたのはこんな意味があります。私達はアウエーな土地を走るのです。地元の方にしてみれば普段仕事に使っている道を140台のバイクが走って荒れるのです。 そこで参加者みなさんの「愛と思いやり」の気持ちが欲しいのです。おかげさまで沢山の愛を頂きました。300円という金額を決めましたがお札を出して「釣りはいらないよ」とか「手持ちがこれしかなくて」とかそれぞれいろんな愛を頂きました。ありがとうございます。総額43,206円の愛を頂きました。余剰金は次回に持ち越し大切に有効に使わせて頂きます。(補修金額はその年度により変わります)

これからの開催見通し
ハッキリ言っていまのところ何の問題もありません。だから次回21回目もやります!!
もう雨や暑さや台風やらごめんです。爽やかに楽しく走れる季節はズバリ5月下旬です。

次回公約
 1.21回目やから記念Tシャツ作ります。
 2.誰も走った事のないルートを開拓します。
 3.募集定員を150台にしてDSクオリティを上げます。

ね。なんでやねんのツッコミ所満載でしょ。

最後に
今回は私が担当してからの最大参加台数136台となりました。すごいです。うれしいです。
リピーターの方はもちろん初参加の方が多い事。久しぶりと言う方もおられる事。全ては20回目効果でしょうか?
そして今までここまでいろんな事があった20回目でした。これも一重に創始者オカザキさま、島の全てのみなさま、リピーター&新規の参加者のみなさま、優柔不断な私を支える?優秀なスタッフ達のおかげです。
みんなみんなにありがとう!そしてそしてこれからも仲良く楽しく続けて行こうねー。

小豆島DSよろしく!



img img img img
img img img img
img img img img
img img img img
img img img img

文・写真 奥村善武